【家の傾きを直す 業者の選び方】悪徳業者を見抜く5つのチェックポイント|曳家のプロが本音で解説
【家の傾きを直す 業者の選び方】悪徳業者を見抜く5つのチェックポイント|曳家のプロが本音で解説
この記事を書いた人:曳家(ひきや)指導士として30年以上、建物の移動・基礎補修に携わってきた現場のプロが、業者選びで後悔しないためのチェックポイントを一次情報でお伝えします。
「家が傾いている気がする…でも、どこに頼めばいいかわからない」
そんな不安を抱えて検索しているあなたへ。結論から言います。
家の傾きを直す業者選びは、工事の成否を8割決めます。
なぜなら、沈下修正工事は住宅リフォームの中でも極めて専門性が高く、施工実績のない業者に頼んでしまうと「数百万円かけて直したのに、半年でまた傾いた」という事態が実際に起きているからです。
この記事では、曳家の現場で数多くの「他社施工のやり直し案件」を見てきた筆者が、悪徳業者を見抜く5つのチェックポイントと業界の裏側を包み隠さずお話しします。
この記事でわかること
- 家の傾き修正で失敗する人に共通するパターン
- 曳家指導士が現場で使う「業者の見極め基準」5つ
- 見積書で即バレする悪徳業者の特徴
- 契約前に必ず確認すべき法律知識
- セカンドオピニオンを取るべき具体的なタイミング

そもそも「家の傾きを直す業者」は3種類ある
業者を選ぶ前に、まず依頼先の選択肢を整理しましょう。家の傾きを直す工事を請け負える業者は、大きく分けて3種類あります。
1. 大手ハウスメーカー・ゼネコン
経営の安定性は高いものの、沈下修正工事の専門職人を自社で抱えていることはほぼありません。実際の施工は下請け業者が行うため、仲介マージンが上乗せされて相場より高額になるのが一般的です。
2. 地元の工務店・リフォーム会社
地域密着で小回りが利く反面、家の傾き修正工事の経験が十分にある職人を確保できるかは会社次第です。「うちでもできますよ」と受注して、実際には慣れない下請けに丸投げするケースもあります。
3. 沈下修正・曳家の専門業者
家の傾き修正に特化した業者です。工法の選択肢が多く、現場の地盤条件に合わせた最適な提案ができます。ただし中小企業が多いため、会社の信頼性は個別に見極める必要があります。
曳家指導士の本音:「新築を建てるプロ」と「傾いた家を直すプロ」は、まったく別の職種です。傾きを直す技術は、建築とは異なる専門的な知識と経験の蓄積が必要。ここを混同すると、業者選びの最初の一歩で間違えます。
悪徳業者を見抜く5つのチェックポイント
チェック1:現地調査でレーザーレベル測量をしているか
これが最初にして最大の判断基準です。
信頼できる業者は、必ず初回の現地調査でレーザーレベルやオートレベルを使った精密測量を行います。建物の四隅と中間点を測定し、どこが何ミリ沈んでいるかを数値で示してくれるはずです。
一方、悪徳業者は測量をせず「目視で見たところ、かなり傾いてますね」「このままだと危険です」と不安だけを煽ってきます。
見抜くポイント:
- 測量結果を「図面」として書面で提出してくれるか
- 傾斜角度を1/1000単位(ミリ単位)で報告してくれるか
- 測量と見積もりが無料かどうか(有料でも事前に説明があれば問題なし)
国土交通省の基準では、6/1000以上の傾斜は構造耐力上の問題が疑われるレベルとされています。業者が数値を出さずに「すぐ工事しましょう」と言ってきたら、その時点で信用してはいけません。
チェック2:複数の工法を提案できるか
家の傾きを直す工法は一つではありません。代表的なものだけでも以下の通りです。
| 工法 | 費用目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 土台揚げ工法 | 200〜300万円 | 工期短い・沈下が収束していれば有効 |
| 薬液注入工法 | 300〜600万円 | 地盤改良も兼ねる |
| 耐圧板工法 | 500〜700万円 | 軟弱地盤が浅い場合に有効 |
| アンダーピニング工法 | 600〜1,000万円 | 再沈下リスク最小・最も確実 |
悪徳業者の典型パターンは、自社が得意な(あるいは利益率の高い)工法一つしか提案しないことです。
「うちは〇〇工法専門なので」と言われたら要注意。例えば、地盤の状況も確認せずに土台揚げ工法を行う業者は危険です。工事は作業が終わったら完了ではなく、お客様への引渡し後に再沈下可能性がどの程度あるか、10年後のお客様の生活に支障が出ないか、をしっかりと検討しなくてはいけないからです。
地盤条件・基礎形状・傾きの程度を総合的に判断して、複数の選択肢を提示できる業者を選んでください。
曳家指導士の本音:私たちの現場では、最初の計画通りにいかないことが珍しくありません。地盤は悪くないはずなのに、掘ってみたら、コンクリート殻やゴミが出てきて、悪さをしていたことがわかることもある。だからこそ、一つの工法にこだわる業者は危険なのです。「プランBを持っているか」は、その業者の経験値を測る良い指標になります。
チェック3:見積書に「一式」が多くないか
見積書は、業者の誠実さが最もよく表れる書類です。
信頼できる見積書の特徴:
- 工事項目が細分化されている(測量費・仮設費・掘削費・杭打ち費・復旧費など)
- 使用する材料の品番・数量が明記されている
- 「諸経費」の内訳が説明できる
- 追加費用が発生する可能性がある条件が明記されている
危険な見積書の特徴:
- 「沈下修正工事 一式 ○○万円」とだけ書かれている
- 材料費と人件費が分離されていない
- 追加費用に関する記載がない
- 口頭での説明だけで書面を渡さない
特に注意してほしいのが「追加費用」の扱いです。地盤を掘削してみたら想定外の障害物があった、支持層が想定より深かったなど、追加費用が発生する可能性はゼロではありません。それを事前に説明し、発生条件と上限額を書面に記載してくれる業者は信頼できます。
チェック4:施工後の保証内容を書面で出せるか
家の傾き修正工事は、施工して終わりではありません。再沈下しないことが確認できて初めて工事完了です。
確認すべき保証のポイントは3つあります。
保証期間:最低でも5年、できれば10年の沈下修正保証があるか。業界では10年保証を付けている専門業者もあります。保証期間が短い、または口頭だけで書面がない場合は要注意です。
保証内容:「再沈下した場合に無償で再施工する」という内容が明記されているか。「保証あり」とだけ言って、実際には免責条項だらけということもあります。
第三者保証:自社保証に加えて、第三者機関による保証が付くかどうか。万が一、施工業者が倒産しても保証が有効であることが重要です。
曳家指導士の本音:正直に言えば、保証を出せるということは「自社の施工に自信がある」ことの証明です。再沈下のリスクが高い工法で施工して、黙って10年保証を付ける業者はいません。保証の手厚さは、そのまま技術力の高さと比例すると考えて差し支えありません。また、再沈下可能性が低いと想定できる場合には、費用面の優位性からあえて土台揚げ工法を選ぶお客様もいます。そういった選択にも「少なからずとも再沈下可能性はありますよ。」と正直に伝える誠意のある業者を選ぶことが大切です。
チェック5:担当者の説明が「家族全員にわかる」レベルか
最後のチェックポイントは、技術力そのものではなく「コミュニケーション力」です。
家の傾き修正工事は200万〜1,000万円の費用がかかる高額工事です。家族全員が工事内容を理解し、納得した上で発注すべきです。
信頼できる担当者の特徴:
- 専門用語を使わず、図や写真を使って説明してくれる
- 質問に対して「わからない」と正直に言える
- 工事のデメリットやリスクも隠さず伝えてくれる
- 契約を急かさず、比較検討の時間をくれる
危険な担当者の特徴:
- 「今月中に契約すれば値引きします」と急かす
- 他社の悪口を言って比較させないようにする
- 「うちに任せれば大丈夫」と根拠なく断言する
- 家族の同席を嫌がる
曳家指導士の本音:工事内容を「やさしく説明できる」業者は、現場でも丁寧な仕事をします。これは30年この業界にいて、例外を見たことがない経験則です。逆に、専門用語でまくしたてて施主を煙に巻く業者は、現場でも手抜きをする傾向があります。
業界の裏側:こんなトラブルが実際に起きている
ここからは、家の傾き直し現場で実際に見聞きしたトラブル事例をお伝えします。
事例1:土台揚げ工法で「直った」はずが半年で再沈下
ある住宅で、A社が土台揚げ工法で沈下修正を行いました。工事直後はたしかに水平に戻りましたが、2~3年後に再び傾きが発生。我々が地盤調査したところ、そもそもの軟弱地盤が9m程度あり、再沈下可能性をまったく検討していない作業であったことがわかりました。
最初の調査段階で地盤のボーリングデータを確認していれば、この工法が不適切であることはわかったはず。また、A社は嵩上げのコンクリート髙が100mm程度あったにもかかわらず、追加配筋も行わず、既存基礎の鉄筋もアンカーも切断されたままだったため、結局、私たちが基礎配筋・補修、アンダーピニング工法でやり直し、お施主さまは二重の出費を強いられました。
事例2:「見積無料」のはずが、断ったら調査費を請求された
B社に見積依頼をしたお施主さまが、他社と比較した結果B社を断ったところ、「現地調査費用として10万円」を請求されたケースです。
見積もり時に「調査費無料」と口頭で言われていたものの、契約書には「成約に至らない場合は実費を請求する場合がある」と小さく記載されていました。
事例3:下請け丸投げで現場監督が不在
大手リフォーム会社C社に発注したお施主さまの事例です。営業担当は丁寧でしたが、実際に来た職人は初めて見る顔ぶれ。聞けば、C社→D社→E社と2段階の下請け構造になっていて、実際に施工するE社は沈下修正の実績がほとんどなかったということが後からわかりました。
工事中にトラブルが発生しても、現場の判断でC社の営業に連絡が行くまでに時間がかかり、対応が後手に回ったそうです。
契約前に知っておくべき法律知識
家の傾きに関連する法律知識を押さえておくと、業者との交渉で有利になります。
品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)
新築住宅の場合、構造耐力上主要な部分の瑕疵については、引き渡しから10年間の瑕疵担保責任が義務づけられています。新築後10年以内に家が傾いた場合、建てた業者に無償修繕を求められる可能性があります。
契約不適合責任(民法562条〜)
中古住宅を購入後に傾きが発覚した場合、売り主の契約不適合責任を追及できる可能性があります。ただし、売り主が個人の場合は免責特約が付いていることも多く、注意が必要です。
傾斜の許容範囲の目安
国土交通省の基準によると、床面の傾斜が3/1000未満であれば構造上の問題はないとされ、6/1000以上になると構造耐力上主要な部分に瑕疵がある可能性が高いとされています。業者に測量を依頼したら、必ずこの基準と照らし合わせてください。
クーリングオフ制度
訪問販売で契約した場合は、契約書面を受け取ってから8日以内であればクーリングオフが可能です。突然の訪問で「今すぐ契約を」と迫られても、冷静に対応してください。
業者選びの具体的な進め方:3ステップ
ステップ1:情報収集(1〜2週間)
まず最低3社の専門業者をピックアップしてください。探し方のコツは以下の通りです。
- 検索するキーワード:「沈下修正 専門」「家の傾き修正 ○○県」「不同沈下 施工実績」
- 確認すること:建設業許可番号の有無、施工実績の写真・件数、社内の有資格者(一級建築士・一級施工管理技士など)
- ホームページがない業者は除外:情報開示に消極的な業者は、アフターフォローにも消極的な傾向があります
ステップ2:現地調査と見積もり比較(2〜4週間)
ピックアップした業者に現地調査を依頼し、見積もりを取ります。
- 必ず3社以上から見積もりを取る
- 見積もりは書面で受け取り、家族全員で内容を確認する
- 上記「5つのチェックポイント」に照らし合わせて評価する
- 不明点は遠慮なく質問し、回答を記録に残す
ステップ3:セカンドオピニオンの活用
「この業者で大丈夫だろうか」と迷ったら、セカンドオピニオンを取ることを強くおすすめします。
セカンドオピニオンを取るべきタイミングの目安は以下の通りです。
- 業者ごとに提案される工法がバラバラで判断できない
- 見積金額に100万円以上の差がある
- 「すぐに工事しないと危険」と急かされている
- 業者の説明に納得できない部分がある
まとめ:後悔しない業者選びのために
家の傾きを直す工事は、人生で何度もある経験ではありません。だからこそ、業者選びで妥協してはいけません。
最後に、この記事で解説した5つのチェックポイントを改めて確認しましょう。
- 現地調査でレーザーレベル測量を実施し、数値データを書面で提示するか
- 地盤条件・基礎形状に応じた複数の工法を提案できるか
- 見積書の項目が細分化され、追加費用の条件が明記されているか
- 施工後の保証内容を書面で出せるか(最低5年、理想は10年)
- 家族全員がわかる言葉で、リスクも含めて説明してくれるか
この5つすべてをクリアする業者であれば、安心して任せられると考えてよいでしょう。
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📞 [0289-62-8235] / 受付:平日9:00〜18:00

※ セカンドオピニオン相談は無料です。相談したからといって、当社への発注を強制することは一切ありません。

よくある質問(FAQ)
Q. 家の傾きを直す費用はどれくらいかかりますか?
工法によって大きく異なりますが、一般的な木造住宅(建坪15〜20坪)の場合、200万〜1,000万円程度が目安です。地盤の状態、傾きの程度、基礎の種類によって最適な工法と費用が変わるため、必ず現地調査をした上で正確な見積もりを取ってください。
Q. 工事中は引っ越しが必要ですか?
多くの工法では、住みながらの工事が可能です。電気・ガス・水道も通常通り使えるケースがほとんどです。ただし、工法によっては一時的に一部の部屋が使えなくなることもあるため、事前に業者に確認してください。
Q. 工事期間はどれくらいですか?
工法により異なりますが、2週間〜2ヶ月程度が一般的です。土台上げ工法やウレタン注入工法は比較的短期間(2〜3週間)、アンダーピニング工法は1〜2ヶ月が目安です。
Q. 地震保険は使えますか?
地震が原因で家が傾いた場合、地震保険の対象になる可能性があります。ただし、保険の適用条件や補償範囲は契約内容によるため、加入している保険会社に確認してください。悪徳業者が「保険で全額まかなえる」と言ってくる場合もありますが、鵜呑みにせず自分で保険会社に確認することが重要です。
Q. 見積もりは何社から取るべきですか?
最低3社から取ることをおすすめします。1社だけでは費用の相場感がわからず、2社だと「安い方」に飛びつきがちです。3社以上を比較することで、工法・費用・保証内容のバランスが見えてきます。
この記事は、曳家(建物移動・基礎補修)の専門業者に所属する曳家指導士が監修しています。記載内容は2026年3月時点の情報に基づいています。
引用
・住宅の品質確保の促進等に関する法律(国土交通省)
・契約不適合について(国土交通省)
・住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準(国土交通省) :傾斜の許容範囲の目安
・クーリングオフ制度(国民生活センター)